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幸子さんと私 ある母娘の症例
四六判
ISBN978-4-924718-95-1
2009年8月3日発行
天才子役、マルチタレント、そして参議院議員と、かつて大活躍をした中山千夏さんだが、母一人子一人として成長し、母親の強い影響を受けていたことはあまり知られていない。
その母親が昨年死去したのを機に、千夏さんは自分自身と母親との関係をたどるという精神的作業を行い、その母娘問題が決して単なる私的体験でなく、普遍的なテーマを含んでいることを摘出する。
本書は、直木賞に3回ノミネートされた実績を持つ中山千夏さんが、自分の私的体験を通じて母と娘の関係を見つめ直した異色の問題作である。
母と息子の場合は「マザコン」と社会に認知された呼び方があるが、母娘の場合はいまだに呼び名がない。事象は存在するのだが、社会はまだそれを名づけるほどの問題とは見ていない。しかし、この問題は確実に社会的問題となりつつある。自分自身の私的な問題を徹底して掘り下げることを通じて、中山千夏さんは、母娘の問題を普遍的なテーマとして描き出した。
(《目次より》
今日ママンが死んだ ――まえがき――
第一章 愛してほしいねん
できれば会いたくない
愛してほしいねん
第二章 娘の記憶から
天知る地知る我知る
九五点の答案
大阪での家族
おかあさま
最古の記憶
第三章 母の記憶から
代筆の「自分史」
「自分史」バージョン1
清さんのおもちゃ/つまづき/いざ鎌倉/疎開/結婚/
「千夏」誕生/離婚/再婚と敗走/奮起
不幸だった幸子さん
「自分史」バージョン2
小さな事実/この事実を知ってから/その程度の愛
第四章 仕事をめぐって
私の職歴
だれの選択か
だれの責任か
母娘の分化
妊娠出産について考える
自分本意
仕事と学業
書いてよかったと考える
契約解消
フリーの不自由
第五章 経済をめぐって
私の略歴
ウーマンリブから/革自連/参議院議員/初心に復帰
母の不思議な感覚
母娘の経済状況
ねじれた浪費
リブ出資事件
シンセサイザー事件
《ある不動産物語》 1 最初はマンション
閑話休題―距離と祖母
《ある不動産物語》 2 独居の始まり
閑話休題―中途半端な自立
《ある不動産物語》 3 政権交代
「政権交代」のあとで
大きな家はだれのもの
母像の変遷
すべてを失った母
東京の母の部屋
「六期」の母
第六章 恋愛をめぐって
思えばたいしたことではなかった
世間が許さない
母の恋愛観
横暴な妨害
価値観の解放区
第七章 念のために
伝わらない不安
母の強さ・私の弱さ
多角関係
頑強な娘
幸子さんの諺集
母を褒める ――あとがき――